ヘレンド　西安の黒シリーズ特集

西安の黒とは

［ Siang Noir／西安の黒 ］
1849年にヘレンドが最初に発表した記念すべき中国趣味「シノワズリ」シリーズです。
「ハプスブルグ家」から別荘ゲデレ城用に発注があって以来、「ゲデレ」または 「ゴドロー」と呼ばれています。
濃黒色が印象的で、緻密に描かれた松竹梅はヘレンドによりアレンジされた吉祥文様です。
最後に地色の黒を手描きする「ファミーユノワールという技法」で仕上げられています。
「西安の赤」「西安の黄」のバリエーションがありコレクションの楽しみになっています。
ティーカップの高台には、金彩をあしらった繊細な透かし彫りが施されています。
また、取っ手部分には鱗模様の生き物が美しいぼかし彩色で施されています。
細部までこだわりぬいた、高度な技術と遊び心が詰まった魅力的な逸品です。

西安の黒の歴史

「西安の黒」は、19世紀にヘレンドがシノワズリデザインを取り入れた作品の一つです。
中国の磁器や壁画から影響を受け、宮廷や貴族階級で人気を博した流れを汲んでいます。
西安の黒は「西安の赤」「西安の黄」と並ぶバリエーションの一つで、ハンガリーの伝統技法と東洋のモチーフを融合させた歴史的継承を体現しています。
ハプスブルク家をはじめとするヨーロッパ貴族の間で高く評価され、中国文化に魅了された貴族たちに愛されました。
取っ手や装飾には「マンダリン人形」を配置しています。
中国官吏を模したデザインが、東洋的エレガンスを見事に表現し、シリーズの個性を際立たせています。
ヘレンドは、1867年のパリ万博で「インドの華」シリーズが成功した後、東洋趣味をさらに深化させました。
現在も伝統的な製法で作られる逸品は世代を越えて愛されています。

西安の黒の特徴

1. 神秘的な黒と鮮やかな装飾

西安の黒は、中国の陰陽思想における「陰」を象徴する黒を基調としたデザインが特徴です。
黒は、神秘や力強さを象徴し、バランスや調和を重視する中国文化において重要な色として位置づけられています。
華やかでありながらも気品あふれる仕上がりとなっています。ヘレンドの職人による繊細な筆使いで、上質な磁器に美しく描かれた模様は、まるで芸術作品のような存在感を放ちます。
鮮やかな色彩と優雅なデザインが食卓を彩り、特別なひとときを演出します。

2. シノワズリデザイン

17～18世紀にヨーロッパで流行したシノワズリ（中国趣味）の影響を受け、西安の黒は東洋風の装飾が施された優雅なデザインに仕上げられています。
繊細な花模様や曲線の美しい構図が特徴で、中国の伝統美とヨーロッパの磁器文化が見事に融合しています。
そのエキゾチックな魅力は、当時の貴族たちに愛され、現在もなお世界中の食器愛好家から高い評価を得ています。

3. 伝統と象徴性が融合

中国の伝統的モチーフである「松竹梅」の吉祥文様をヘレンド流アレンジしています。
吉祥文様とは、幸運や繁栄、長寿、成功などの願いが込められた縁起の良い模様のことを指します。
中国や日本をはじめとする東アジアの文化で広く用いられ、陶磁器に多く用いられてきました。
西安の黒に描かれた「松竹梅」は長寿と繁栄を象徴する組み合わせです。

4. 歴史と伝統を受け継ぐ磁器

西安の黒は、19世紀に創業したヘレンドが長年培ってきた技術と伝統を受け継ぐ磁器のひとつです。
ハプスブルク家をはじめとするヨーロッパの王侯貴族たちに愛され、格式の高い食器として確立されました。
現在もすべてハンドメイドで製造されており、その品質の高さは世界的にも認められています。
歴史と伝統を大切にしながらも、時代を超えて受け継がれる美しさを持つ磁器です。

5. 職人技の圧倒的な精密性

ヘレンドの磁器はすべて熟練した職人の手作業によって装飾されています。
西安の黒も例外ではなく、カップの内側や凹凸部分まで細部まで描き込むハンドメイド技法が光ります。
一つとして同じものがない特別な逸品です。
高度な技術と長年の経験を持つ職人たちによる精巧な絵付けは、ヘレンドならではの芸術性の高さを感じさせます。

6. コレクターズアイテムとしての魅力

西安の黒は、「西安の赤」「西安の黄」のカラーバリエーションで展開し、世界中のコレクターや愛好家から高い評価を受けています。
美しいデザインと高級感あふれる仕上がりが、多くの人々を魅了しています。
特に、シノワズリデザインを好む方や、格式のある食器を求める方にとっては、特別な価値を持つ逸品です。
芸術性と実用性を兼ね備えたヘレンドの磁器は、贈り物としても最適で、一生もののコレクションとしてもふさわしい存在です。

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